特集 O2 Kinetics
慢性呼吸不全におけるO2 Kineticsとその臨床応用
神津 玲
1
,
田平 一行
1
,
真鍋 靖博
1
,
中村 美加栄
1
,
柳瀬 賢次
1
,
千住 秀明
2
Kozu Ryo
1
1聖隷三方原病院聖隷呼吸器センター内科
2長崎大学医療技術短期大学部理学療法学科
pp.26-33
発行日 1996年1月15日
Published Date 1996/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104457
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1.はじめに
Wassermanらが示した,筋組織における内呼吸と肺における外呼吸のカップリングに関するガス輸送機構のシェーマ1)のごとく,運動を続けるためには,運動筋の酸素需要の増大に対応して酸素供給を絶え間なく続けなければならない.つまり,換気系,心循環系,筋代謝系の各過程が密接に,かつ効率的に噛み合うことが必要である.
しかし運動の開始直後において,エネルギー源として有酸素的代謝過程が十分にはたらくには,心循環系や運動筋での酸素抽出能(酸素利用能)などの時間的な遅れが存在するために,運動の開始時における酸素摂取量の動態はある時間遅れを伴った反応を示す.このような運動開始時にみられる酸素摂取量の応答特性をO2 Kineticsという2).
O2 Kineticsは運動に対する酸素摂取量の応答特性を評価し,運動処方に応用する上で注目すべき概念であるといわれている.本稿では,慢性呼吸不全患者のO2 Kineticsの特性について概説するとともに,理学療法との接点,ならびに,その臨床応用の可能性について考察する.
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