今月の主題 今日の血液形態学
血小板の形態
ITPと血小板のkinetics
鯉江 捷夫
1
Katsuo KOIE
1
1藤田学園名古屋保健衛生大学・ばんたね病院内科
pp.1222-1223
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216636
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血小板減少性疾患の中でも,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は,日常臨床上よく遭遇する疾患で古くから知られており,元来は骨髄巨核球からの血小板産生が何らかの不明の原因によって障害されているものと考えられていた.しかしHarringtonらによりITP患者血漿中に健常人の血小板を減少させる因子が存在することが証明され,この疾病の病態に免疫学的概念が導入された.すなわち,その後の多くの研究成果から,この血小板減少性因子は大部分IgGよりなる自己抗体で,主として脾臓で産生され,健常人や患者自身の血小板に吸着され,このように感作された血小板が脾臓その他の網内系細胞において異常に素早く無差別に破壊されること(血小板寿命の短縮)がITPの主病態であると考えられるようになっている.
ここでは,血小板寿命の測定法,ITPにおける血小板回転の成績とその病態解析上の意義,問題点について述べる.
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