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特集 世界は今
外国学会の動向
World Now: Academic Activites in the World
森永 敏博
1
Toshihiro MORINAGA
1
1京都大学医療技術短期大学部理学療法学科
1Division of Physical Therapy, School of Allied Medical Sciences, Kyoto University.
pp.8-11
発行日 1995年1月15日
Published Date 1995/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104195
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Ⅰ.初めに
諸外国における学会活動とその学問的傾向は,その国の理学療法士の教育制度と水準によって異なる.また,その国の理学療法が今日の状態に至った経違(歴史),現在の経済状態や医療水準など種々の要因が加味されることによって特徴づけられる.一般的には,ヨーロッパが経験重視,実務主義的傾向が強いのに対して,アメリカは実証重視,効率主義的であり,この両者が特徴の双壁であると言える.前者に属するグループは,理学療法が制度的に最も古いイギリスとオーストラリアなどの旧英連邦諸国であり,フランスやドイツもこれに類すると見做される.これらの国々の学会の特徴は,経験に基づいた報告的内容が主流を占め,学会そのものが非常に実用的である.このような背景の中で生まれた治療体系は,必然的に構築的性格が強く,実際の治療場面においてはつねに説得力があるものである.これに対して,後者の特徴は,統計学的手法を基礎にした科学的,論理的な特徴をもつが,度が過ぎると治療手技が人間味の無い乾燥したものになるという危険性を孕む可能性がある.
外国学会の動向を検討するに当たって,必然的にイギリスとアメリカとの学会を分析することになるが,これらの国と非常に近い関係にあるオーストラリアやカナダの実状についても一部ふれてみたい.ただし筆者の語学能力の限界もあり,フランスやドイツの実状については,他に機会を譲ることをおことわりしておきたい.
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