Japanese
English
特集 脊髄損傷者の社会参加とQOLの向上
脊髄損傷者のADL訓練と社会参加
Social Participation and Achievement of Higher QOL in the Spinal Cord Injured Patient: ADL Training and Social Participation in the Spinal Cord Injured Patient
平上 二九三
1
Fukumi HIRAGAMI
1
1吉備高原医療リハビリテーションセンター
1Kibikogen Rehabilitation Center for Employment Injuries.
pp.667-673
発行日 1994年10月15日
Published Date 1994/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104102
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.初めに
第4頸髄損傷者(以下,C4)の金子氏は,チンコントロールのリクライニング式電動車いすで渡米し,その体験から「欧米の脊髄損傷者は,日本のようにアクセス(交通機関,建物,街の構造)の問題を心配することなく,自由に出掛けることができる.」と述べている1).
ところが我が国の公共交通は,ほんの一部の都市で車いすリフト付きバスが走っている程度で,電車もプラットホームまで階段の障壁がある.したがって,これらを性急に利用することはできない.一方,日本式家屋の生活様式は,洋式構造に比べて車いす生活に向いていないのは明らかである.玄関,廊下,トイレ,浴室,敷居,畳,襖など段差や仕切りが多く,狭い.このため生活動作は,必然的に垂直な移動を強いられ,特にトイレや浴室の改造を余儀無くされる.
本稿はこのような生活環境を十分考慮し,慢性期の脊髄損傷者におけるADL評価と訓練の工夫や在り方について述べる.また社会的自立や社会参加に視点を置いた脊髄損傷者の理学療法について,臨床現場に通じた基本的な考えを模索してみる.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.