とびら
職域拡大と専門性
西村 敦
1
1大阪府済生会吹田病院理学診療科
pp.365
発行日 1994年6月15日
Published Date 1994/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104018
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最近,理学療法士が病院以外のいろいろなところで活躍する機会が増している.これもわれわれを指導してくださった医師の尽力や先輩たちの努力によるところであろうが,救命医療の発達と慢性疾患の増加,高齢化社会への不安に関するマスコミ報道,そして何より高度経済成長を背景とした豊かさの追求など,言わば時代の流れが大きな要因と言える.活躍の場が広がることは,病院診療部門にいる理学療法士としても,大きな期待を寄せているが,この時代の要求,社会の要請に,理学療法士がはたして応えていけるのだろうか,との不安が少なからずあるのも正直な気持ちである.
我が国に理学療法士資格制度ができて28年,時代の要請により生まれた理学療法士は,そのときどきのニーズに応えることに努力し,社会の要望に引っ張られるようにして歩んできた.しかし,来るべき21世紀を迎える社会のニーズは,今までのものとは根本的に異質なものではないだろうか.今までに求められてきたことは,脊髄性小児麻痺,慢性関節リウマチ,脳性小児麻痺,脳血管障害,そして,慢性呼吸器疾患や心疾患など,理学療法の対象疾患の広がりに対応することであった.
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