論説
海外協力活動の組織的推進を
久野 研二
1
1青年海外協力隊マレーシア・サラワク州社会開発省福祉部
pp.353
発行日 1994年5月15日
Published Date 1994/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104012
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青年海外協力隊の理学療法士としてマレーシアに赴任して以来,多くのことを学び,考えています.その一つは,日本の海外に対する技術協力において現在までに質的な向上がどれだけあったのかということです.医学が,臨床や研究の蓄積と学会などでの検討とにより,広く現場に還元されることを繰り返して進歩してきたように,海外技術協力もこのような形で向上されていくのではないでしょうか.
私の任地には諸外国のボランティアがおり,彼らの母国には海外技術協力の現場に対する組織的な情報による積極的援助形態があり,日本より一歩先んじています.例を挙げますと,イギリスにはAHRTAGという途上国への医療協力を目的として1977年に設立された情報センターがあります.AHRTAGはInstitute of child healthという途上国のCBR(Community Based Rehabilitation)ワーカーの養成コースを有するロンドン大学附属機関との協同で「CBR NEWS」の発行などを行なっています.現場の活動,経験,問題そして情報などのさまざまな“枝”が「CBR NEWS」という“幹”によって一つとなり,検討され,現場に還元されています.マレーシアにおいてもMalaysian Careという民間の情報センターがあり,CBRワーカーの養成や「Partner」という情報誌の発行などを行なっています.マレーシアの福祉関係者には周知の団体で,各枝々をつなぐ幹の役割を十分に果たしています.
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