特集 公衆衛生活動の国際的な展開
福岡市における国際保健協力の推進
西岡 和男
1
1福岡市衛生局
pp.555-558
発行日 1994年8月15日
Published Date 1994/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901090
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◆長期派遣専門家を引き受ける
昭和63年の初夏の頃だったか,東京在住の公衆衛生のある大先輩から電話をいただいた.タイ王国で行われているプライマリ・ヘルスケアのプロジェクトに長期専門家として行ってみないかとのお誘いである.当時筆者は45歳,福岡市衛生局の保健部長の職にあった.仕事は充実し,何ら不満があったわけではなかった.福岡市はアジア太平洋博覧会を翌年に控えていた.とても行ける状態ではなかったが,永年,タイ国の国家家族計画にかかわっていたこともあり,今回なんとか自分もその気になり,周囲の許しも得た.
8月から翌平成元年10月まで,国際協力事業団からの専門家としてタイ王国で務めを果たすことができた.福岡市では派遣条例が昭和63年度から施行されており,筆者はその第2号の適用となった.派遣期間中は人事課付となり,保健部長は他の医師が就かれた.帰国後,保健部長が兼務しておられたある保健所の所長に,すぐ筆者はポストを得ることができた.国際医療協力は国民の務あとはいいながら,職場での周囲の暖かい思いやりに,筆者自身,多少身勝手だったかという思いも多々ある.
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