プログレス
慢性疲労症候群の診断基準と治療
松本 美富士
1
1名古屋市立大学医学部附属病院輸血部・第二内科
pp.339
発行日 1994年5月15日
Published Date 1994/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104004
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慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome;CFS)は激しい疲労を主徴とする疾患で,本邦でも多数の症例が報告されてきている.CFSの扱いが本邦ではマスコミ先行の経過をとったため,医療側,患者側ともに少なからず混乱がみられている.CFSを医療スタッフの一員として,正しく認識することは重要である.
CFSは新たに発生した疾患でなく,18世紀中ごろにすでに激しい疲労を主徴とする病態の記載があり,現在のCFSに一致する病態である.その後,同様の病態に対しさまざまな病名で呼ばれてきたが,再び注目されるようになったのは1984年米国ネバダ州にて激しい疲労を主徴とする患者の集団発生があり,ウイルス感染との関連で調査されたことによる.1987年米国防疫センター(CDC)はこのような病態の定義設定を行ない,CFSという名称,診断基準案が提出された.本邦厚生省調査研究班も診断基準を設定している(表1).
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