Japanese
English
特集 疲労と精神障害―ストレス-疲労-精神障害について
慢性疲労症候群のcomorbidity,特にうつ病との関係について
Comorbidity of Mental Disorders, Especially Major Depressive Disorders with Chronic Fatigue Syndrome
松井 徳造
1
,
松田 泰範
1
Tokuzo MATSUI
1
,
Yasunori MATSUDA
1
1大阪市立大学大学院医学研究科 神経精神医学
1Department of Neuropsychiatry, Osaka City University, Graduate School of Medicine, Osaka, Japan
キーワード:
Chronic fatigue syndrome
,
Major depressive disorder
,
Psychiatric comorbidity
Keyword:
Chronic fatigue syndrome
,
Major depressive disorder
,
Psychiatric comorbidity
pp.561-567
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101220
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はじめに
種々の身体疾患に精神障害を伴うことは周知の事柄である。特に高齢者や慢性身体疾患の場合にうつ病を伴うケースは数多く報告されている。さらに,一般に身体疾患にうつ病が伴った場合の予後は,身体疾患単独の場合に比べて悪い傾向があることが知られている27)。このため,身体疾患なのか精神障害なのかの二者択一ではなく,身体疾患に伴う精神障害を正確に診断,鑑別することは重要である。
本稿で取り上げる慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome;CFS)の場合,他の身体疾患とは異なり確定診断のための生物学的マーカーが存在せず,臨床症状から一定以上の項目を満たした場合に診断される9,19)。これは,うつ病をはじめとする精神障害の診断方法1)と同じで,操作的な診断に依っている。またCFSの診断基準9,19)には,うつ病の診断基準1)と重複する項目が含まれているために,日常臨床において鑑別診断に苦慮することも少なくない。そしてCFSの診断にはいくつかの精神障害の除外診断が必要とされており9,19),これらの精神障害の評価が必要となる。さらにCFSの発症と同時期またはその後にうつ病およびその他の精神障害を発症する場合が多い2,12,23)。そのためCFSの精神障害の併存(comorbidity)が検討されてきた。
本稿ではCFSと不安障害をはじめとする精神障害の併存について,次いでうつ病との併存,さらに両者の関係について,最後に治療と予後について,我々の経験を中心に紹介する。
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