プログレス
呼吸中枢におけるリズム形成機序に関する研究の進歩
福原 武彦
1
1東京慈恵会医科大学第二薬理学教室
pp.49
発行日 1994年1月15日
Published Date 1994/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103914
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延髄の神経構造内に独自に周期性興奮を繰り返す能力をもつ神経機構が存在し,上位脳,橋,脊髄,末梢からの求心性インパルスの関与無しに,その神経機構自体の内部で自動的に形成される延髄固有の周期性興奮のパターンは正常呼吸運動型のパターンであって,あえぎ型呼吸(gasping)ではないことが確定した(1965).そして呼吸中枢神経機構内における呼吸リズム形成機構の局在部位として有力な候補部位と考えられてきた.橋吻側部の内側脚傍核(古典的呼吸調節中枢)および橋網様核は,延髄で形成される正常呼吸運動型の呼吸リズムの基本的原型形成過程には関与せず,形成された呼吸リズムを修飾する二次的な役割を演ずる神経機構であることが明示された.したがって,呼吸中枢内で成立する統合的興奮パターンとしての呼吸運動パターン,橋および脊髄神経機構の呼吸リズムは二次性のリズム活動であって一次性呼吸リズム活動ではない.
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