プラクティカル・メモ
ALS患者に対する頭頸部支持装具の試み
増本 正太郎
1
1東京都立神経病院リハビリテーション科
pp.66-67
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103676
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1.初めに
ALS患者で筋力低下の分布が躯幹や下肢筋に比べ頸部ならびに上肢筋に目だつ患者が存在する.その場合,歩行は可能であっても頭部が前屈し,直立位を保持できないままの歩行を強いられる.こうしたケースには,頭部を直立位に保持するため頸椎術後の患者に用いるような,ポリネックカラーや硬性装具で対処することがある.ポリネックカラーなどの軟性装具は筋力低下が軽度の間は良いが,進行すると支持性が不十分となり頸部の絞扼感が増す.一方硬性装具は固定性に優れるが,頭部重量のほとんどを前方のジャケット部分で受けるため鎖骨や胸骨部などを圧迫し痛みを訴えるなど,実用に適さないことが多かった.今回そのような症例に対し,上背部から後頭部にかけてサブオルソレン製の硬性後頭支持部を設けストラップで頭部の直立位を保持可能とした頭頸部支持装具を考案した(図1,2).
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