Japanese
English
入門講座 関節可動域訓練・5
慢性関節リウマチ患者の関節可動域訓練
Range of Motion Exercise. 5: Range of Motion Exercise for Rheumatoid Arthritis Patients
安岡 郁彦
1
Kunihiko YASUOKA
1
1道後温泉病院理学診療科
1Department of physical Therapy, Dohgo Spa Hospital.
pp.765-769
発行日 1992年11月15日
Published Date 1992/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103626
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.初めに
慢性関節リウマチ(以下,RAと略.)はリハビリテーションの主要対象疾患に数えられているものの,現実には理学療法士にとっては興味をもって積極的に治療しにくい疾患のようである.その理由として理学療法士側からみれば「過度の訓練はRAの活動性を増悪させる可能性が有る」「不用心な可動域訓練は関節破壊を助長するかもしれない」あるいは「RA患者には易疲労性があり休息も重要な治療である」といった受け身にならざるをえないリスク概念に接する機会の多いことが挙げられるし,患者側にも,少しでも痛みを受けることがあれば訓練を敬遠するといった風潮があることなどが考えられる.
機能維持を目的に恐る恐る患者にアプローチしていては,理学療法士にとっておもしろい対象疾患には成りえない.RAが機能改善を目的に積極的に訓練を行なうことによりADL改善の獲得できる疾患であり,またRAにとって理学療法は不可欠な治療手段であるということを認識していただきたい.
患者個々にとっての最適な運動療法は患者との二人三脚で作り上げていくものであり,理学療法士は訓練中や訓練後の痛みや疲労などについての情報を患者から収集し,また患者も積極的に自分の状態を理学療法士に話すことにより,より効果的な訓練を双方が協力しながら探していく姿勢が必要である.訓練内容は患者個々によって本来は別個のものであり,すべての患者に当てはまることは無いはずであるが,本稿では可動域訓練を実施するに当たり基本的事項であろうと思われる事柄について述べる.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.