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特集 ADLとQOL
理学療法士からみたADLとQOL
ADL and QOL: Physical Therapists, Point of View on ADL and QOL
洲崎 俊男
1
,
奈良 勲
1
Toshio SUSAKI
1
,
Isao NARA
1
1金沢大学医療技術短期大学部
1School of Allied Medical Professions, Kanazawa University.
pp.742-748
発行日 1992年11月15日
Published Date 1992/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103621
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Ⅰ.初めに
ADL向上は医学的リハビリテーションのもっとも現実的な目標であり,特に評価の中でも重要な位置を占めている1~6).
従来,病院を中心とした急性期の理学療法においては,医学的リハビリテーションを主な手段とし,impairment,disabilityに対するアプローチが主流であった.しかし,高齢化社会が進行するなかで慢性期患者や老人保健法7)に基づき,1983年より実施されている機能訓練事業を中心としたいわゆる地域リハビリテーションや特別養護老人施設・老人保健施設などでのアプローチも重視されるようになった.これらの状況における医学的リハビリテーションの主な目的は身体機能維持であろう.中村8)は,慢性疾患モデルにおいては,病気だけが問題でなく,それによってもたされるQOLの変化に目を向ける必要性を指摘している.このような状況の中で,障害を有する人が社会に参加し,その中で積極的に生きがいを見いだしてゆくQOLの概念が導入されるようになってから,われわれ理学療法士の間でもADLとQOLとをいかに取り扱うかが問題となってきた.
今回の「ADLとQOL」特集の企画を契機に,この課題に対してこれまで理学療法士はどう対応してきたのか,また今後いかなる方向に進むべきかを考えてみたい.
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