プログレス
高位頸椎病変に対する手術的アプローチ
浅野 孝雄
1
1埼玉医大総合医療センター脳神経外科
pp.119
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103451
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高位頸椎周辺には,骨,血管,神経,結合組織,脊髄硬膜,脊髄,などから発生するさまざまな腫瘍,先天性骨異常,変形性関節炎,外傷による骨折あるいは脱臼,など多彩な病変が発生し,その頻度も下位頸椎に比べてそれほど低いものではない.しかし,高位頸椎には次のような解剖学的な特殊事情が存在するために,手術的治療におけるアプローチの選択に苦慮することが少なくない.すなわち,高位頸椎上部には頭蓋底が,前方には下顎骨が存在するために,アプローチしうる角度が制限されている.また,Ⅸ-ⅩⅡの脳神経,頸部諸筋,総頸-内頸動脈,椎骨動脈,各脊髄神経などが近接しつつ,きわめて複雑な解剖学的関係を構成しており,おのおのの機能を保存しながら十分な術野を得るためには,高度な局所解剖学的知識を必要とする.したがって,高位頸椎病変に対する手術的治療においては,その病変の性質,局在の僅かな違いに対応して,もっとも適したアプローチを選択することが不可欠である.本稿では,代表的なアプローチの幾つかについて簡略に述べたい.
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