短報
有限要素法による靴べら式プラスチック短下肢装具の応力解析
辻下 守弘
1
,
鶴見 隆正
1
,
川村 博文
1
1高知医科大学附属病院理学療法部
pp.53-55
発行日 1990年1月15日
Published Date 1990/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102934
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Ⅰ.初めに
従来,脳卒中片麻痺患者に対する短下肢装具は,金属支柱付き装具が主流であったが,近年では軽量で,外観の良いプラスチック装具の処方が大部分を占めるようになった1).プラスチック装具については,新しいデザインが各種発表されているが,その基本形である靴べら式プラスチック短下肢装具(以下,SHBと略す.)が多く用いられている2).
これまでSHBに関する研究は,SHB装着時の歩行への影響について床反力計を用いた研究や片麻痺患者の機能とSHBとの関係についての研究が中心に行なわれてきた.また,最近ではSHBの耐久性について,歪(ひずみ)ゲージを用いた力学的な検討も行なわれている.われわれはSHBの可撓(とう)性と耐久性とに着目して,SHB装着によるしゃがみ動作や坂道歩行における足関節の角度変化と歪ゲージによる材質の歪パターンとについて報告した3).しかし,歪ゲージではSHB全体の歪や応力を定量的に把握することは困難であった.
そこで,今回われわれは,有限要素法(Finite Element Method;以下,FEMと略す.)と応力塗料を用いてSHBの応力解析を行ない,SHBの可撓性と耐久性との関係を明らかにして,SHBの理想的なデザイン設定の基礎資料を得る目的で実験し若干の結果を得たので報告する.
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