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Ⅰ.初めに
理学療法士として卒後教育ということばを耳にするようになって10数年になるであろうか.本誌の前身である『理学療法と作業療法』でも何度か取り上げられたテーマでもある.
医学界をはじめとする多方面の学問分野では,それこそ有史以来,進歩発展の原動力はまさに学校教育(卒前教育)以後の研究開発,科学の進展,実践また研究の繰り返しが卒後教育そのものだったとも言える.
一般的に言って,学ばなければならないことは多岐にわたり,しかもその増加は人類の繁栄の中で専門分化し,あらゆる分野での多様化への道を歩み続けている.
1950年から1960年にかけてのアメリカでは,教育の現代化の掛け声の下に「知識の爆発」と表現される情況の中で,生涯学習(life-long learning)ということばを1964年Tyler Rの講演中に見いだすことができる.
また,1965年12月ユネスコの第3回成人教育推進国際委員会において,継続教育部長Lengrand Pが生涯教育(life-long education)と題するワーキングペーパーを提出,同委員会はそれを承認した経緯がある.それに基づいてユネスコの事務局では生涯教育の定義づけをしたが,その中に「人の一生の時系列の生活全体にわたる垂直的な次元と,個人および社会の生活全体にわたる水平的次元の双方について必要な統合を達成すべきである」との表現がみられる.
卒後教育,生涯教育,生涯学習とことばの使いかたはともかくとして,われわれは生活全体の水平的次元のほんの一部ではあるが,卒後教育(教育の分野では生涯教育が訳語として採用されているようであるが)ということばで,実は生涯学習の実践について,その目的と方法とを,次に大阪府理学療法士会(以下,本士会と言う.)の歩んだ道と現状,そして今後の課題と遂行方策について述べてみたい.
なお,本稿では,士会活動としては生涯学習という観点がふさわしいように思うが,用語としては卒後教育を用いることにする.
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