とびら
背中で語る
河野 礼治
1
1国家公務員共済組合連合会新別府病院
pp.769
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102389
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最近,卒後1~3年まで理学療法に対する意欲が高く,研修会や勉強会に積極的に参加し将来有望だと楽しみにしていた理学療法士が,7~8年後ぐらいから姿が見えなくなり,寂しく感じることがあります.その原因として,業務が忙しくなった,家庭をもち時間や金銭面に余裕がなくなった,理学療法を自分の中で確立できた,などが挙げられるでしょう.しかしそれに加え,先輩が新しい考えを取り入れない,認めない(自分の積み上げてきた経験を壊したくない),努力や研鑽をせずに後輩に指示しているなど,手本となるべき先輩の背中(姿)が逆に後輩のやる気をそぐ原因となってはいないでしょうか?
私の大好きな言葉に「やってみせ,言って聞かせて,させてみせ,ほめてやらねば,人は動かじ」という,連合艦隊司令長官であった山本五十六元帥の言葉があります.冒頭部分の「やってみせ」が重要ですが,この言葉は「背中を見せる」に該当すると捉えられがちです.しかし調べてみると,「背中を見せる」には「引き下がる」「逃げる」という意味もあるため,「背中で語る」というのが「行動で教え(やってみせ)る」ことになるようです.
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