特集 足部・足関節の機能と理学療法
足部・足関節の機能と転倒―つまずきやすさを表す足部クリアランスの観点から
小林 吉之
1
Yoshiyuki Kobayashi
1
1産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センター
pp.757-763
発行日 2011年9月15日
Published Date 2011/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102056
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はじめに
転倒は,高齢者はもちろんすべての年代の人にとって,減らしたい歩行中の事故である.転倒のもっとも主要なきっかけは歩行中のつまずきであるが,この「つまずき」には遊脚期の足部クリアランスという観点から,足部・足関節の機能が大きく関与している.
足部クリアランスとは,遊脚期における足底部から歩行路面までの距離であり,様々な研究によって歩行中のつまずきやすさを表す有用なパラメータであることが知られている.しかし現状では,その計測や評価にある程度の専門性と高価な機器を必要とするため,臨床現場ではまだあまり利用されていない.その一方で,近年普及が進む小型センサを用いた技術により,簡便に足部クリアランスをはじめとする有用なパラメータを計測・評価できるようになりつつある.
本稿では,足部クリアランスに焦点を当て,これまで実施された様々な先行研究を基に足部・足関節の機能との関連を解説する.さらに工学的な観点から,現状の計測・評価方法の課題と今後の展望について紹介する.
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