特集 糖尿病の理学療法
こんなときどうする―糖尿病合併症に対する症状別アプローチ
5.糖尿病網膜症
本田 寛人
1
,
井垣 誠
1
,
谷口 勝茂
1
Hiroto Honda
1
1公立豊岡病院日高医療センターリハビリテーション技術科
pp.667-673
発行日 2011年8月15日
Published Date 2011/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102031
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
糖尿病網膜症(diabetic retinopathy)は,特異的な合併症として糖尿病の診断基準に組み入れられているが,簡便な臨床検査がないため,診断には眼科専門医による精査が必要である.糖尿病網膜症は日本人における視覚障害の原因の第2位であり1),わが国での有病率は,糖尿病患者の2割前後と報告されている2,3).糖尿病網膜症ではかなり進行するまで自覚症状がみられないため,糖尿病であれば自覚症状がなくとも定期的な眼科検診は必要である.そしてわれわれ理学療法士は,患者に関わるその時点で網膜症と診断されていなくとも,常に合併症リスクを考慮して治療にあたるべきである.また,画像所見やカルテ情報も収集する必要がある.本稿では,事前に確認しておくべき知識や注意点,理学療法士の役割,および当院における糖尿病網膜症患者への取り組みを述べる.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.