特集 内科医に求められる他科の知識―専門家が伝えるDo/Don’t
第2章 眼 科
糖尿病網膜症
寺﨑 浩子
1
1名古屋大学医学部眼科学
pp.1824-1826
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1824
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糖尿病網膜症とは
糖尿病網膜症は,高血糖による網膜毛細血管内皮細胞の障害に起因する網膜毛細血管の閉塞から始まり,その範囲が広がると眼内の虚血が進み,血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)が産生され,網膜から硝子体に侵入する網膜新生血管ができたり,毛細血管から漿液成分が漏れ出て眼の中心である黄斑に溜まり,黄斑浮腫という状態をきたす.糖尿病網膜症において光覚までも失う原因は,新生血管膜の牽引による網膜剝離や,VEGFが前方にも波及して虹彩上の血管新生をきたす血管新生緑内障であるが,失明はしなくとも運転や読み書きする視力を失う糖尿病黄斑浮腫は,社会生活を行ううえで支障が大きい.
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