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はじめに
通所サービス(通所ケア)はハンディキャップを負いながら在宅(地域社会)で生活する人々を医療的・福祉的・社会的に支える重要なサービスである.通所サービスの対象者は高齢者だけではないが,ここでは,要介護高齢者に対する通所サービスに限定して述べる.また,要介護高齢者に対する介護保険の通所サービスには,居宅系サービスに属する「通所リハビリテーション」と「通所介護」があり,その他,小規模多機能型サービスのなかにも通所があるが,本稿では,理学療法士の関わりが多い通所リハビリテーションと通所介護を中心に述べる.
ところで,通所リハビリテーション(以下,通所リハ)はデイケアとして医療の分野で始まったことから,多くは病院・診療所・老健施設に併設されている.他方,通所介護はデイサービスとして福祉分野で始まった経緯から特別養護老人ホームに併設,あるいは,社会福祉協議会が運営主体になっているものが多い.
こうした出自の違いから,本来は,通所リハは医学的管理のもとにリハビリテーションを基軸としたサービス,他方,通所介護は生活全般の支援や社会交流,介護負担の軽減を中心としたサービスが本旨であろう.しかし,実際には渾然一体となっており,両者を区分する指標も曖昧である.せいぜいのところその事業所に医師のカウントがあるかないかといった極めて形式的で行政的なものであり,必ずしも提供されているリハビリテーションの質や量の違いではない.最近では理学療法士が開設者となって通所介護事業を展開するケースも出現し,通所介護でありながら通所リハ的な機能を有する事業所も増えている.その一方で,通所リハ事業所でありながら,リハビリテーション機能が希薄な事業所も少なくない.
施設ケアから在宅ケアへの転換が目指されるなかで,通所サービスの役割がさらに増すことは間違いない.内容の充実とともに通所リハと通所介護の役割分担を進めることも求められている.通所サービスの歴史を振り返り,通所サービスの今日的役割を整理するとともに,通所サービスにおける理学療法士の役割を再確認することにしたい.
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