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臨床研究(ヒトを対象とする医学研究)には,個人を特定できるヒト由来の試料やデータに関する研究も含まれ,観察研究と介入研究(または臨床試験)に分けられる.また,臨床試験のうち,医薬品,医療機器および体外診断薬の厚生労働省による製造販売承認を得るために行う試験のことを治験と呼んでいる.治験以外の臨床試験のことを慣用的に自主臨床試験,あるいは単に臨床研究と呼ぶこともあるが,後者は正しい用語の使い方ではない.
これらの臨床研究に対し,倫理指針や法規制が定められている.「ヘルシンキ宣言」(ヒトを対象にする医学研究の倫理的原則,世界医師会,1964年採択.2008年最終改訂)は臨床研究全般に対して当然遵守すべきものとして位置づけられている.治験に対しては,「医薬品(または医療機器)の臨床試験の実施の基準に関する省令」(省令GCP)ならびに各種通知に基づき実施することが定められている.治験以外の臨床研究に対しても国の指針が定められており1),「疫学研究に関する倫理指針」は,集団を対象に行う観察研究およびフィールドで行う保健指導などの介入研究などが対象となる.「臨床研究に関する倫理指針」は,それ以外の臨床研究を対象としており,臨床で行う介入研究や症例ベースの観察研究を対象としている.また,「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」,「遺伝子治療臨床研究に関する指針」,「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」に該当する場合は,それらを遵守することとなっている.さらに,「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」も発出されており,省庁間の縦割りの影響もあり,多数の指針が存在し,改訂がなされていることに注意が必要である.
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