1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?
起座呼吸
解良 武士
1
1日本医療科学大学保健医療学部リハビリテーション学科
pp.313
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101642
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起座呼吸(orthopnea)とは,臥位では呼吸困難感が強いが,座位になるとその症状が軽減する状態を指す.起座呼吸を認める代表的疾患としては,左心不全が挙げられる(表).左心不全において臥位よりも座位のほうが呼吸困難感が軽減するメカニズムには,主に静水圧が影響している.
肺内血液量,肺気量,気道抵抗などは,臥位と立位のような姿勢の違いによって影響を受ける.立位では静水圧の影響により下肢にかなりの血液が移動する.しかし臥位になると,下肢に貯留されている血液が静水圧の影響下から解放されて頭側へ移動するため,肺内血液量は増加する.その変化量は大きく,立位から臥位になると肺内血液量は30%以上も増加する.これは肺胞や気管のスペースも変化させる量で,全肺気量(TLC)は臥位になると約10%も減少する.量の多少はあれ,座位から臥位に変化しても同様である.このような肺内血液量の変化は,左心不全の症状に大きな影響を及ぼす場合がある.
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