理学療法臨床のコツ・1【新連載】
基本動作練習のコツ―片麻痺者の移乗動作と運動療法のコツ
江西 一成
1
Kazunari Enishi
1
1星城大学リハビリテーション学部
pp.78-80
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101595
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
基本動作とは,臥位から歩行に至るまでの一連の姿勢・動作の集合であり,座位・立位,および寝返り・起き上がり・立ち上がり・移乗,そして歩行と車いす動作の8種がある.その役割は,個人が必要とする時に自らの意志と力で,自らの身体を移動することであり,食事・排泄動作とともにADL構造(図1)の中核を構成する.このうち,特に移乗動作は,これを起点として食事と排泄,休息・睡眠を異なる場所で行うことを可能とし,人間としての最低限の欲求を保障している.理学療法対象者の多くは,様々な原因でこの動作が遂行困難となっており,この動作能力の獲得は理学療法の最も重要な責務といえる.
ここでは,特に臨床場面で苦慮することの多い,歩行自立の困難な重症片麻痺例における移乗動作とその運動療法のコツを述べていく.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.