なぜ学ぶのか・9
数学―柔軟で豊かな発想,そして実用
福田 賢一
1
Fukuda Kenichi
1
1首都大学東京人間健康科学研究科放射線科学系
pp.50-52
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101336
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数学再発見
読者のほとんどは,中学・高校で数学を履修し,自分なりの数学に対するイメージを持っていると思います.数学は自由で豊かな発想を育み,論理的思考力を養成し,新しい発見,学びの感動を与えるものである,といわれています.しかし,現実は必ずしもそうはなっていないようです.
高校では,かなり早い段階で文系・理系のコース選択を迫られます.最近は,受験に関係ない科目は一切履修しない,できない傾向が顕著となってきており,時にはその弊害や行き過ぎた対応が報道されることもあります.文系コースに進むと,数学に興味があっても,数学に触れる機会が極端に少なくなります.理系を選択しても,入試対策に追われ,受験情報にあおられ,精神的に落ち着かずじっくり考えることができなくなるため,基礎的な事項が疎かとなったり,柔軟な発想を阻害したり,学ぶことの感動が薄れてきています.このような現状に対して,理工系だけでなく,他の分野の専門家の方々も危機感を持っています.
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