コーヒーブレイク
数学の先生
S.T.
pp.710
発行日 1987年5月1日
Published Date 1987/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204144
- 有料閲覧
- 文献概要
この2年間,教養講座で,某国立大学の偉い数学の大先生2人の話を別々に聞く機会があった.数学の先生であるので,専門の話が根底にあるであろうと思って出席したが,話は,数学とは全く関係がなく,一人の先生は,自分は最近「あいまい」ということにもっとも興味を持つようになったので,それをこれから勉強しようと思う,ということであったし,もう一人の先生は,長年にわたって学生の教育(大学教養部)をやっていて感ずることであるが,最近は,はっきりした学生よりも,AでもないBでもないというような,はっきりしない学生の方が人間味があり,現在の社会に適しているように思う,との話であった.
かつては数学の先生といえば,こわいとか,よく落第させるとか,融通がきかないとか,難しい人だと考えていたのが普通であり,事実,数学の点数は,100点から0点まで並んでいることが多く,進級,卒業を前にして,先生の自宅を訪れて,何とぞよろしくお願しますと言ったものである.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.