特集 骨関節疾患の理学療法とバイオメカニクス
変形性股関節症に対する理学療法とバイオメカニクス
南角 学
1
,
神先 秀人
2
,
西村 純
1
,
秋山 治彦
3
,
中村 孝志
3
,
柿木 良介
1,3
Nankaku Manabu
1
1京都大学医学部附属病院リハビリテーション部
2山形県立保健医療大学理学療法学科
3京都大学医学部整形外科
pp.829-836
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101268
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はじめに
臨床場面において,人工股関節置換術(total hip arthroplasty:以下,THA)によって術前の痛みがなくなった患者が次に期待することは,「きれいに歩くこと」や「杖なしで歩くこと」である.しかし,THA術後や変形性股関節症(以下,股OA)の三次元歩行解析を行った多くの報告では,体幹・骨盤による代償運動や立脚期での股関節モーメントの減少など,股関節機能の低下に起因する歩行上の問題点が指摘されている1~4).
筆者らは,股OAやTHA術後で股関節に問題を抱えた患者に対する治療課題は,局所の股関節機能の改善を基盤として,荷重位で股関節機能を十分に発揮させることにより,歩行を中心とした動作の改善を図ることであると考えている.そのためには,股関節機能のみに限局した評価だけでは不十分であり,全身的な視点から股関節疾患の障害像を捉えた上で,効果的で根拠のある理学療法を展開していくことが重要である.
本稿では,股OAやTHA術後患者の立位姿勢および歩行動作の問題点,当院でのTHA術後の理学療法プログラムの一部とその有用性についてバイオメカニクスの視点から紹介する.
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