特集 褥瘡の予防と治療―理学療法の役割
高齢者に対する褥瘡の予防と治療―遠隔地シーティングサポートシステムの実践
福田 聡史
1
Fukuda Satoshi
1
1社会福祉法人緑樹会沖縄長寿センター緑樹苑
pp.753-761
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101250
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はじめに
厚生労働省の平成18年度社会福祉施設等調査結果によると,現在,国内には5,789の介護老人福祉施設が存在している.入所者の要介護度の内訳をみると,要介護4,5の入所者が全体の6割を占めており(図1),重度高齢障害者の褥瘡発生リスクへの対応が求められている.介護老人福祉施設において,専任の機能訓練指導員は常勤換算で73%に配置されているが,そのうち理学療法士,作業療法士といった専門職を機能訓練指導員として配置しているのは,わずか8.4%に過ぎない.そのため,褥瘡対策は医師,看護師,栄養士,介護職といった職種でチームアプローチが行われることが多く,理学療法士が直接的に関わる機会は少ないのが現状である.また,褥瘡予防・治療にあたり専門的な知識をもつスタッフも不足している.
当施設では,地理的に離れたリハビリテーション専門病院の褥瘡再発・予防対策を施行しているシーティングスタッフと連携し,電話やメールなどを利用して具体的な対応方法を一緒に検討する「遠隔地シーティングサポートシステム」を構築し,実際に運用している.本稿では,システム構築の経過と導入による効果を紹介し,今後の展望について述べる.
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