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編集後記
高橋 哲也
pp.254
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101141
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2007年の夏ごろから,米国における低所得者向けの住宅ローン「サブプライムローン」の不良債権化の問題が世界の金融市場に波及し,日本,欧米,アジアの世界同時株安など,その影響は広範かつ深刻なものとなっています.「米国には家を追われるほどの低所得者がそんなに大勢いるのか」と,メディアの報道をみて大国の経済格差の深刻さに気づいた方も多いのではないでしょうか.
少し前に日本は「一億総中流」といわれていたように思いましたが,気がつくと日本でも様々な分野で「格差」という言葉を耳にするようになりました.最近では,理学療法分野でも「格差」が議論されるようになってきています.理学療法の技術の格差や知識の格差を縮めて,できるだけ均質な理学療法サービスをクライアントに提供しようと,(社)日本理学療法士協会は生涯学習システムを全国に展開してきました.しかし,予想以上の新入会員数の急増により,そのシステムの効果以上に,理学療法士の技術や知識,生涯学習への意欲の格差が顕在化しており,専門分化しながら自律性を成長させる薬学分野や看護学分野の方式は,参考にする点が多いように思います.
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