紹介
SHELモデルを用いた事故要因分析―当院理学療法部門における取り組み
竹内 伸行
1
,
桑原 岳哉
1
,
木村 輝美
1
,
桑原 沙和子
1
,
岩﨑 強
1,2
,
下川 龍平
1
,
池田 邦生
1
,
伊藤 裕教
1
,
根岸 智美
1
,
松田 紗耶香
1
,
三澤 由子
1
,
酒井 章弘
1
,
竹迫 信博
1
,
塚本 祥子
1
Takeuchi Nobuyuki
1
1本庄総合病院リハビリテーション科
2越谷ハートフルクリニックリハビリテーション科
pp.167-171
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101120
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はじめに
近年,医療過誤や医療事故に関する要因分析や再発防止策の検討に取り組む医療機関は珍しくなくなった.しかし,医療界の取り組みは,他の産業界に比べ非常に遅れているのが実情である.航空業界や原子力産業は,事故時の被害が莫大になることや,企業イメージの低下などによる経営的損失が大きいことから,早くから事故防止に取り組んできた.筆者は,電力会社に勤務した経験があるが,そこでは頻繁に危険予知訓練や事故例検討会を行っていた.これらは特別難しいことをするのではない.前者は,あらゆるシチュエーションを想定した事故防止の取り組みである.後者は,実際に生じた事故の発生要因や対策を検討し,再発防止を図る取り組みである.
現在,医療界で事故要因分析に用いられている手法に「SHELモデル」がある.SHELモデルは国内で比較的多用され,報告も少なくない.しかし,それらは看護領域の報告が主である.理学療法をはじめとしたリハビリテーション領域では,SHELモデルに関する報告は散見される程度であり,こうした取り組みは遅れているといわざるを得ない.当院理学療法部門(以下,当院)では,2006年よりSHELモデルを用いてインシデント・アクシデント事例を検討し,リスクマネジメントに活用してきた.本稿ではSHELモデルについて概説し,実際に当院で検討した事例を紹介する.
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