書評
―岡村英樹(著)―「OT・PT・ケアマネにおくる建築知識なんかなくても住宅改修を成功させる本」
備酒 伸彦
1
1神戸学院大学総合リハビリテーション学部
pp.164
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101119
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
●ノウハウ本ではない本
4章19節96項目それぞれに見出しのついた読みやすい本書を,著者は「ノウハウ本」ではないと冒頭で宣言している.読み進むうちにその意味がはっきりと伝わってくる.例えば,大きな病を患ったとき,医師でもない私が治療のノウハウを聞きかじっても意味がない.何よりもほしい示唆は「誰に,どのように頼ればよいか」というもので,本書は住環境整備についてその期待に見事に応えている.
著者は数多の「住宅建築・改修」,というよりも実は「ケア」に深く関わるうちに,様々な専門家の凄さを感じ,同時に各々の限界を知ったのだろう.そして,互いがうまく頼り合うことではじめて良い仕事となることを悟ったのだと思う.その意味で「ノウハウ本ではない」という言葉には,著者の“チーム”への期待と,何よりもチームを構成する人たちへの尊敬を感じる.このような著者の態度に貫かれた本書には,たしかにノウハウは書かれていないが,それでいてたくさんのことを教えてくれている.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.