Japanese
English
原著
高齢遺体の肩関節包内滑膜の変化と関節軟骨の変化およびその関係
Changes and relationship of the synovial membrane of articular capsule and cartilage of the glenohumeral joint:an anatomic study with cadavers of elderly.
西村 由香
1,2
,
吉尾 雅春
3
,
村上 弦
4
Nishimura Yuka
1,2
1北海道文教大学人間科学部理学療法学科
2札幌医科大学大学院保健医療学研究科
3千里リハビリテーション病院
4岩見沢江仁会病院
キーワード:
高齢遺体
,
肩関節
,
関節包
,
関節軟骨
Keyword:
高齢遺体
,
肩関節
,
関節包
,
関節軟骨
pp.69-74
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101101
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要旨:本研究の目的は,高齢遺体の118肩を対象に肩関節包内滑膜,肩甲骨関節窩軟骨および上腕骨頭軟骨の変化を調べ,相互の関係とそれらの特徴を捉えることである.「滑膜の変化」とは,著しい絨毛やヒダの発生,破れた痕とした.「軟骨の変化」とは,fibrillation,軟骨欠損,増殖,軟骨下骨の露出とした.その結果,2区域以上に滑膜の変化がみられるものが81.3%に及んだ.滑膜の変化と軟骨の変化には有意に関連性が認められた(p<0.01).しかし例外的に,著しい滑膜の変化があっても,肩甲骨関節窩軟骨には変化がないもの(2肩),上腕骨頭軟骨には変化がないもの(9肩)が存在した.反対に軟骨の変化だけが著しいものはなかった.そのため,軟骨より滑膜の変化が先に生じている可能性が考えられた.本研究から,肩関節障害に対して,滑膜の変化を予防する必要性と,関節包に着目した理学療法を実施することの有効性が示唆された.
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