書評
―廣瀬和彦(著)―「筋電図判読テキスト 第2版」
大西 秀明
1
1新潟医療福祉大学
pp.46
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101094
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われわれ理学療法士は臨床現場において筋力や筋活動を推測・計測することが多く,筋活動に関する基本的な知識として,骨格筋の構造・機能や筋電図検査について知っておく必要がある.筋電図はその利用方法によって大きく2つに分けられる.1つは神経・筋疾患の診断補助としての筋電図検査であり,もう1つは動作学的な筋電図である.どちらもわれわれ理学療法士には密接に関係している分野である.本書は神経内科医など医師を対象にしていることもあり,神経・筋疾患の診断に必要な筋電図の判読が中心になっているが,筋電図の基礎的な理解や筋収縮の生理学的な理解にも有用であり,動作学的な筋電図を学びたい者にとっても活用できる.
本書は,「総論(12章,約220頁)」,「各論(4章,約110頁)」および「付録(約50頁)」から構成されている.総論の第1章「筋電図検査とは」には筋電図検査の種類と目的についてまとめられている.第3章「普通筋電図検査」には筋電図の解釈のために必要な骨格筋の構造と機能,筋電計の構成や筋電図検査の進め方,筋電図波形の異常所見と正常所見について詳しく書かれている.第4章「末梢神経伝導速度」では,末梢神経伝導速度の計測方法や臨床的意義だけでなく,末梢神経の構造と機能や末梢神経の病変についてもまとめられている.この他,「筋電図検査でわかること」,「強さ・時間曲線」,「F波」,「H波」,「表面筋電図」などの章もあり,総論だけで骨格筋の構造・機能と筋電図に関する基本的な知識を十分に得ることができる.
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