特集 大腿骨―整形外科的治療と理学療法
大腿骨転子部骨折・転子下骨折の整形外科的治療法と理学療法
大谷 真琴
1
Ootani Makoto
1
1熊本機能病院総合リハビリテーション部
pp.975-981
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101073
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
わが国ではこれまで,高齢者の大腿骨近位部の骨折は,大腿骨頸部内側骨折(関節包内骨折)と大腿骨頸部外側骨折(関節包外骨折)に分類し,両者を含めて大腿骨頸部骨折と呼称してきた.これに対して,最近の多くの欧米文献では,大腿骨頸部内側骨折をfemoral neck fracture(大腿骨頸部骨折),大腿骨頸部外側骨折をtrochanteric fracture(転子部骨折)・intertrochanteric fracture(転子間骨折)・subtrochanteric fracture(転子下骨折)と呼称している1).実際には,転子部骨折と転子間骨折は同義語として扱われ,2つを合わせて大腿骨転子部骨折と呼ぶことが多いようである.
大腿骨近位部骨折の中でも,大腿骨転子部骨折・転子下骨折は骨粗鬆症をもつ高齢者に多く,整形外科を標榜する病院ではしばしばみかける疾患である.近年,医療保険ではリハビリテーション算定日数上限が設けられ,われわれ理学療法士には,術後の限られた日数の中で治療効果を上げることが求められている.
本稿では,大腿骨転子部骨折・転子下骨折に対する代表的な手術療法と理学療法について解説する.また,当院における大腿骨転子部骨折・転子下骨折後の調査結果と,高齢者の筋力と動作能力の維持・獲得に対する具体的取り組みについて述べる.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.