講座 行動分析学的アプローチ・3
理学療法教育における行動分析学的アプローチ
辻下 守弘
1
,
小林 和彦
2
Tsujishita Morihiro
1
1広島県立保健福祉大学保健福祉学部理学療法学科
2筑波技術短期大学理学療法学科
pp.1079-1085
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100937
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2003年4月時点の理学療法士養成校数は162校であり,入学定員数は約7,000名近くになった.これほどの数になると,理学療法士の仕事を十分に理解し,理学療法士になりたいという強い意志で入学する学生や,理学療法士に必要な資質を備えた学生の数が減少するのは必至であろう.一方,養成校の急増によって,学生側の問題だけではなく,臨床経験や教育経験が未熟な教員や臨床実習指導者も増えるため,理学療法教育の質も低下していく可能性がある.つまり,現在の理学療法教育は,多種多様な志向や動機を持つ学生に対して,経験の浅い教員や指導者がいかにして効果的な教育をしていくのかという大きな問題を抱えている.
養成校の急増は既に10年以上も前から始まっていることであり,最近特に顕著になってはいるが,この問題自体は長年に渡り議論されてきたものである.しかし解決の糸口がいまだ見つかっていない.この問題を解決するためには,哲学や理念あるいは形骸化した教育方法論を振り回すよりも,科学的な根拠に基づいた教育戦略と指導技法を教育現場へ早急に導入すべきである.
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