理学療法の現場から
医療はサービス業
永井 将太
1
1藤田保健衛生大学七栗サナトリウムリハビリテーションセンター
pp.886
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100906
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「患者さま,いらっしゃいませ.どちらの科にご用でしょうか?」と,“接客係”が患者を出迎えるサービスを都内大学病院が開始しました(2003.7.22読売新聞より).この接客係は,某有名ホテルでそのために研修を積んできたとのことです.ついに病院でも,ホテルやデパートなどのいわゆるサービス業とかわらぬ“接客”が始まったわけです.読者の皆さまには賛否両論あるかもしれませんが,このような現象はもはや我関せずでは通り過ぎることのできない社会情勢になってきたと考えています.
医療の世界では,古くからパターナリズム(paternalism)が問題視されてきました.パターナリズムとは日本語では,父権主義や父権的干渉主義と呼ばれています.簡単に言えば,「父親(医療者)は,子供(患者)のためを思ってやっているのだから,父親(医療者)の言うことを聞け」といった人間関係を指しています.1960年代から,米国の医療の現場において患者が医師の権威に盲目的に従う関係が問題になり,患者の権利を求める運動が盛んになりました.特に,医師側の説明義務と患者側の同意の権利が焦点になりました.様々な活動・運動を経て1973年に米国病院協会によって「患者の権利章典」が制定されたのは有名な話です.
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