とびら
高齢者・雑感
金谷 さとみ
1
1介護老人保健施設パステルヴィレッジ小野
pp.359
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100803
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介護保険施設は現在,箱ものごと(施設単位)に機能分化されているが,実はこれは利用者側にはわかりにくく,むしろ施設ごとの括りの中で機能的類型化を図るべきだという意見が出ている.例えば一つの介護老人保健施設で,家庭復帰型,生活介護型,医療型という機能分けをするというものだ.この考え方からすると,やはり理学療法士は家庭復帰型に着目するべきであろうが,果たしてそれだけで良いのであろうか.利用者や家族から見ればどのような型であれ,同額ならば同じサービスを受けたいというのが本音であろう.
不可逆的に機能低下する高齢者の特性,一人に長期にわたって関わる地域ケアの特性を鑑みれば,理学療法を受ける機会を公平にする意識は重要である.「理学療法の対象でない」「専門性が不明瞭だ」などの意見はあくまでも「こちら側」の発想であり,今後はもっと利用者側に視点を置いて議論すべきかもしれない.とてつもない高齢社会を前に,確固とした社会要請に「精一杯応える」ことを心掛けていかなければ,意欲的な他職種に押されてすぐに蚊帳の外となる.
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