特集 整形外科疾患のクリティカルパス
腱板損傷のクリティカルパスの現状と課題
村木 孝行
1
,
中島 知隆
2
,
石田 暉
3
Muraki Takayuki
1
1東海大学医学部附属病院リハビリテーション科
2東海大学医学部整形外科学教室
3東海大学医学部リハビリテーション医学教室
pp.96-103
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100774
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クリティカルパス(critical path:以下,CP)は,医療費増大に伴う医療制度改革や診療報酬改定といった社会情勢の変化により在院期間の短縮が図られている中で,効率的で質の高い医療を提供するためのツールとして用いられるようになった.整形外科疾患においても,もともと術後プログラムが存在しているものに関してはCPの作成が比較的容易であるということから,当院も含め多くの施設で導入されてきている.
CPの導入に関しては多くの施設で看護師が中心となって作成されている印象を受ける.CPがスムーズに導入されない場合,原因の一つとして医師の抵抗や無関心が挙げられている.その理由は,医療の標準化により患者に対する個別的な診療が阻害されてしまうという懸念があることや,わが国の現状として医師が多くの雑用まで抱えており,業務が多忙であるためといわれている1).このような問題は医師だけでなくわれわれ理学療法士にも当てはまるのではないだろうか.少なくとも個別的な対応が難しいという懸念は誤解であり,実際にCPを導入してみても“患者に与えられるべき治療・ケア”,つまり標準的な医療が明確になるに過ぎず,個別性に対してはCPからの逸脱(以下,バリアンス)という形で捉えられ,個別に対処していくことができる.
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