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特集 新しい整形外科手術とリハビリテーション診療
肩腱板損傷に対する手術
Rehabilitation after reverse total shoulder arthroplasty
茂山 幸雄
1
Yukio Shigeyama
1
1独立行政法人労働者健康安全機構吉備高原医療リハビリテーションセンター整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Kibikogen Rehabilitation Center
キーワード:
リバース型人工肩関節置換術
,
腱板断裂性関節症
,
広範囲腱板断裂
,
肩腱板損傷
Keyword:
リバース型人工肩関節置換術
,
腱板断裂性関節症
,
広範囲腱板断裂
,
肩腱板損傷
pp.437-441
発行日 2021年5月10日
Published Date 2021/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202215
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はじめに
肩腱板損傷は,肩関節機能障害や疼痛を生じて,日常生活動作に障害をもたらす疾患である1).新鮮外傷として診断されることがあるが,加齢性の変性疾患として診断されることも多い2-5).新鮮外傷による肩腱板断裂例や,肩腱板変性または軽症の肩腱板損傷が新たな外傷やストレスで腱板断裂へと進行し,保存療法に抵抗性を示す症例は,腱板修復術の適応となる5).
近年,内視鏡手術の発達で多くの腱板修復術は内視鏡的に行われるようになり,良好な臨床成績が多数報告されている5-7).しかし,長い経過で腱板に広範囲の欠損や高度の癒着で修復に十分な腱板が残存していない症例8-10),脂肪変性11,12)が高度な症例,さらには高齢の症例13,14)では,修復術後の再断裂リスクが上昇するため修復術以外での肩腱板機能の再建が必要になる.これまで腱移植や腱移行による腱板機能再建が行われてきたが,2014年4月に本邦でリバース型人工肩関節置換術(reverse shoulder arthroplasty;RSA)〔または,リバース型人工肩関節全置換術(reverse total shoulder arthroplasty;R-TSA),本稿ではRSAを用いる〕が新たな治療の選択肢として加わった.RSAは,肩甲骨と上腕骨との形状が解剖学的肩関節とは逆の反転構造を持ち15),修復術と比べても早期の機能改善が期待できる16-18)治療法である.本稿では,RSAのコンセプトおよび特徴を述べるとともに,周術期リハビリテーションの注意点について解説する(図).
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