特集 整形外科疾患のクリティカルパス
変形性膝関節症のクリティカルパスの現状と課題
高家 佳奈子
1
,
林 秀俊
1
,
中野 政弘
1
,
高永 康弘
1
,
河原 朋恵
1
,
川村 秀哉
2
,
坂本 央
3
Takaie Kanako
1
1九州厚生年金病院リハビリテーション室
2九州厚生年金病院整形外科
3九州厚生年金病院リハビリテーション科
pp.89-95
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100773
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米国では,医療技術の進歩と高齢者の増加による医療費の高騰に対し,診断群類包括的支払い方式(以下,DRG・PPS)が導入され,それを補うものとしてクリティカルパス(以下,パス)が導入されている1).近年,日本も人口の高齢化を主原因とする医療費の高騰が懸念されており,その結果,DRG・PPSの導入が検討されている.医療の効率化・在院日数の短縮が叫ばれる医療情勢において,パスを導入する施設が増加しており,当院も全科・全疾患を対象にパスの作成に努力しているところである.今回,変形性膝関節症,特に当院整形外科にて導入している人工膝関節全置換術(以下,TKA)後および高位脛骨骨切り術(以下,HTO)後のパスについて導入前後の在院日数などを比較し,理学療法士(以下,PT)の視点からパスによる効果・課題について検討したので報告する.
変形性膝関節症
変形性膝関節症は,45歳頃より徐々に増加し,60歳以上の約50%以上が罹患しており,男女比は1:4で女性に多く発症する.病理学的には,関節軟骨の変性に伴う摩耗,軟骨下骨組織の硬化,骨棘形成,および骨嚢腫が特徴とされる疾患である.原因によって一次性と二次性に分けられる.一次性は原因が明らかでないものであるが,病因論として,加齢,肥満,筋力低下などが関与すると言われている.二次性は骨折(関節内,関節外),感染症(化膿性関節炎など),膝内障(半月板損傷,靱帯損傷,骨壊死など)に続発するものである2).
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