講座 介護予防と理学療法・2
介護予防にかかわる日本理学療法士協会の活動
金谷 さとみ
1
Kanaya Satomi
1
1日本理学療法士協会介護保険部
pp.421-429
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100754
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はじめに
介護予防は,一次予防(生活機能維持向上),二次予防(生活機能低下の早期発見・対応),三次予防(要介護状態の改善・重度化予防)に分類されているが,平成18年4月に介護保険法で制度化されたものは,主として二次予防の部分である.これまで,理学療法の提供は,その発展過程と理学療法士数の問題から,医療機関における診療報酬領域を主体とし,一次予防や二次予防に関わる機会は極めて少なかった.しかし,老人保健事業などを経て徐々に活動範囲が広がり,現在は理学療法士の養成校の増加とともに,理学療法の対象範囲は年々広がりを見せている.なかでも介護予防は見逃すことのできない絶好の活動領域と重要視すべきであろう.
「介護予防」という言葉自体は,まだ国民に十分浸透しているとは言えないが,昨年度の介護保険制度改正以降,高齢者の中では「予防」の認識が確実に高くなっている.そのような意味で,この介護予防の制度は評価されるべきものと考える.しかし,本当の評価は介護予防の取り組みが明確な「効果」として表現できる時であり,そのための介護予防の「効果判定」は重要な意味を持つ.理学療法士は「効果を検証」する点においては,他のどの職種にも勝る技量を持っている.このことは,介護予防とは別の職場で活躍することが多かった理学療法士自身が,改めて認識すべきことかもしれない.このような背景から,日本理学療法士協会(以下,協会)は,平成16年から制度の動向を見ながら介護予防に関する取り組みに力を注いできた.本稿ではその詳細と今後の展望について述べていく.
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