特集 実践理学療法のエビデンス
脳性麻痺児の基本動作能力改善―実践理学療法のエビデンス
小塚 直樹
1
,
西部 寿人
2
,
横井 裕一郎
3
,
中村 宅雄
1
,
小神 博
2
Kozuka Naoki
1
1札幌医科大学保健医療学部理学療法学科
2北海道立札幌肢体不自由児総合療育センター
3北海道文教大学人間科学部理学療法学科
pp.379-384
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100748
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はじめに
長年にわたり,わが国において脳性麻痺(以下,CP)に実践してきた理学療法の多くは,子どもたちをある一定期間,施設に入所させて,運動機能の改善を目標とするスタイルをとってきた.子どもたちの機能は特定の治療手技によって改善されると信じられ,その安心感により,より正常な反応を促通することが重視される反面,それらを支える理論の追求は後回しにされ,子どもの人生や家族のQOLは重視されることが少なかった.近年の療育に対する根本的な考え方の変化,子ども本人と家族の価値観の変化,社会環境の変化は,それぞれの地域で子どもを育て,その中で活用できる社会生活能力を育てるスタイルへ変化する原動力となった.
EBM(evidense-based medicine:以下,エビデンス)に基づいて開発されたいくつかの評価概念と判定方法(表1)は,CP児がたどる運動発達が十分考慮されており,理学療法の介入方法とその考え方に影響を与えている.CP児の機能障害は時間と共に変化するが,疾患の特性を熟慮した上で,彼らの人生における生活能力を伸ばすアプローチが考慮されるべきである.
本稿では,CPに対する臨床実践に関するエビデンスの最近の考え方を総括し,臨床的なエビデンスを取り上げた実践例について論述したい.
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