症例報告
末期癌患者の緩和ケアにおける理学療法士の役割に関する一考察――未告知であった2症例の経験から―
池田 耕二
1
,
玉木 彰
2
,
中塚 奈々
1
,
村田 磨優
1
,
宮﨑 昌之
3
Ikeda Kouji
1
1道仁病院リハビリテーション科
2京都大学医学部保健学科
3道仁病院外科
pp.865-869
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100581
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末期癌患者は,癌告知をはじめ,身体的,心理的に多くの問題を抱えながら,全身状態は日々悪化していく.治療内容は積極的な癌治療から全人的なケアへと移行し,生活の質(quality of life;以下QOL)の維持・向上を目的に緩和ケアが施行される1,2).
しかし,緩和ケアを受けている患者に最も多く見られる症状として,身体的,心理的疲労が癌の進行のため通常の生理的レベルを越えるアステニア1)があり,日常生活活動(activities of daily living;以下ADL)能力が極度に低下するなか,QOLの維持・向上を図ることは非常に困難でもある.また,それを評価することも,患者の持つ人生観や価値観が多彩で多様なことや,最終的に死を迎えることなどから同じく困難であることが多い.
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