入門講座 私にもできるシングルケーススタディ➌
シングルケーススタディのプレゼンテーション
石倉 隆
1
Ishikura Takashi
1
1医療法人柴田病院リハビリテーション科
pp.757-763
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100562
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Evidence-based medicine(以下EBM)を実現するためには様々な症例の客観的・科学的データの蓄積が不可欠である.この様々な症例についてシングルケーススタディが行われ,その結果が報告されるなら,同様の症状を呈する症例を担当したとき,その報告がEBMの礎となる.また,その報告と異なった結果を導き出したときには新たな問題が提起され,さらなるEBMの展開に寄与することになる.シングルケーススタディの報告は,個人やスタッフおよび施設全体の知識や技術の向上,当該患者への回帰,リハビリテーション医療全体の発展のみでなく,理学療法全体の患者への回帰にも優れた効果を発揮する1).
このような意義をもつシングルケーススタディの報告も,それがなされなければ,個人のデータとして蓄積されるだけで,膨大な客観的データを必要とするEBMや理学療法全体の患者への回帰にはつながらない.効果的な報告,効果的なプレゼンテーションは,報告を受けたものに強い印象を与え,同様の症例を担当し,同様の悩みを抱える理学療法士の道標となったり,研究の動機づけとなったりして,さらなる客観的データの蓄積に寄与するものである.
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