特集 運動療法の基礎
筋力低下に対する運動療法の基礎
市橋 則明
1
,
大畑 光司
1
,
伊吹 哲子
2
Ichihashi Noriaki
1
1京都大学医学部保健学科理学療法学専攻
2京都大学医学部附属病院
pp.709-716
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100552
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筋力低下は関節可動域制限と並んで最も理学療法士がかかわることの多い機能障害の1つであり,健常者や骨関節疾患に対する筋力トレーニングの効果に関する報告は枚挙に暇がない.筋力低下に対する運動療法の基礎的知識としては, 1)筋の構造と機能, 2)筋力に影響する因子, 3)過負荷の原則と特異性の原則, 4)廃用性筋萎縮防止トレーニング, 5)open kinetic chainとclosed kinetic chainの違い, 6)筋力増強のメカニズムなどが重要である.誌面の都合上,上記のことは拙著1~5)を参考にしていただき,本稿では理学療法において一般に行われている筋力トレーニングを筋電図学的に検討する.また,膝関節への負荷が少ないとされるペダリングトレーニングの有効性について述べる.さらに,近年注目されている高齢者や中枢性疾患に対する筋力トレーニング効果に関して文献的にレビューする.
各種筋力トレーニングの筋電図学的分析
理学療法において一般に行われている代表的な筋力トレーニング時に各筋がどの程度の筋活動を示し,肢位や角度などを変化することにより筋活動がどのように変化を示すのかを知ることは重要である.下肢筋の代表的なトレーニングであるブリッジ動作,下肢伸展挙上(SLR),パテラセッティング,スクワット,段差昇降時の筋活動をわれわれの研究結果から筋電図学的に検討する.以下の各筋の%は,最大等尺性収縮を行ったときの筋活動を100%とした%MVC(maximal voluntary con-traction)として表している.
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