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海外において精神発達遅滞児(以下MR)の問題行動は疾患の種類を問わず同じ症状を呈するかどうかという討論が見られる.本邦においては医学的な観点からMR全般の問題行動を捉えた報告は極めて少なく,また,問題行動の評価に関しては「キャントウェル診察用評価リスト」,「多動性尺度」が見られる程度であった.そのような現状をふまえ染色体欠損児の問題行動を捉えたAberrant Behavior Checklist(以下ABC)を用いた一連の報告は,小児理学療法において有用な情報であると考え報告する.
ABCは,MRの問題行動に対する薬物療法の治療効果を評価する目的でAmanらによって1986年に発案された質問紙である.質問紙の構成は,Ⅰ.攻撃性・Ⅱ.引きこもり・Ⅲ.典型的・Ⅳ.多動・Ⅴ.不適切な言語の5要因からなる.さらに5要因はⅠ.攻撃性に関しては,「自虐」「他者や他児への攻撃」「不適切な叫び声」「癇癪」などからなる14項目,Ⅱ.引きこもりに関しては,「無関心」「他者から離れようとする」「無表情」「無動」などからなる15項目,Ⅲ.典型的に関しては,「意味もなく身体をゆする」「同じ動作,奇怪な行動」「頭を前後に動かす」「頭・身体・手を繰り返し動かす」などからなる7項目,Ⅳ.多動に関しては,「過度に動く」「乱暴」「衝動的」「非協力的」などからなる16項目,Ⅴ.不適切な言語に関しては「過度にしゃべる」「話をくりかえす」「一人で高圧的にしゃべる」などからなる4項目の合計58項目で構成されている.そしてそれらの項目に対して援助者らが問題なしの(0点)から軽度の問題(1点),中等度の問題(2点),重度の問題(3点)の4段階に採点し問題行動を評価することができる.
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