特集 認知症へのアプローチ
認知症予防と運動の関係
川副 巧成
1
Kawazoe Kousei
1
1社会福祉法人春秋会 リエゾン長崎
pp.535-541
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100349
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はじめに
認知症の高齢者は,年々増加傾向を示している.2005年は約189万人,2020年には約292万人に達すると予測されている1)(図1).それゆえに,認知症予防は関心が高く,今般,介護保険改正で掲げられた「介護予防」の重点課題とされている.さらに,認知症予防の最重要ターゲットは,健常と認知症の境界状態にある高齢者とされ(図2),地域での啓蒙・啓発から実践に至る様々な過程において認知症予防に対する積極的な取り組みが推進されている.
一方,認知症予防には,従来から関わりと集団活動を介した精神・心理面への働きかけが効果的とする報告が多かった.しかし昨今,脳の機能低下や,それに伴う低活動状態による運動能力の低下を防ぎ,生活機能を維持することが重要とされ,その手段として,運動の有効性に関する報告も多くみられるようになった2,3).
そこで本稿では,介護予防の背景と,筆者らが行ってきた要介護高齢者に対する筋力向上トレーニングの実践内容の双方を踏まえ,認知症予防と運動の関係について述べる.
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