特集 認知症―予防とケアの最前線
認知症は予防できるのか
須貝 佑一
1
1浴風会病院診療部
pp.666-670
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100633
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病気は予防が大事だと言われる.認知症についても予防の大切さが強調されるようになった.つい最近のことである.認知症の代表疾患であるアルツハイマー病の解明が進み,原因の一端が明らかになってきたことがこの動きを後押ししている.
一方で,高齢化が急速に進み,いわゆる団塊の世代が高齢化する2015年には,認知症の人が250万人に達すると推計されている.2000年に発足した介護保険制度は財政運営上の困難に直面し,この4月に改正されたばかりである.今後とも認知症の増加が社会全体の負担となることは確実とみられ,その対策が緊急の課題となっている.
介護保険制度は「介護予防」と「予防給付」という言葉を産み,これまでは看過されていた高齢者の認知症の予防にも関係者の目が向けられるようになった.予防医学の面からは意義深いことではあるが,実際に認知症予防をどう進めたらよいのか,どの程度の予防効果があるのかについてはデータに乏しく,不明な点が多い.本稿では認知症の研究成果の現状を解説し,認知症予防の可能性と認知症予防活動の留意点について論じてみたい.
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