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ロンベルグ徴候
淺井 仁
1
1金沢大学大学院医学系研究科
pp.703
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100148
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ロンベルグ徴候(Romberg's sign)とは,閉足立位時に開眼から閉眼することによって,開眼時よりも身体の動揺が大きくなり最後には転倒に至る現象を指す.ロンベルグ徴候は,ドイツの神経内科医であるMoritz Heinrich Romberg(1795-1873)によって著された「Lehrbuch der Nervenkrankheiten des Menschen(英名:A Manual of the Nervous Diseases of Man)」の中に記述されている1).この本は,彼の仕事が最も充実した時期と考えられる1840年から1846年の間に書かれ1853年に英訳されたものであり,各種の神経症状が神経学や神経生理学に基づいて体系化されて詳しく記述,解説されている1).
ロンベルグ検査は,厳密には失調症の原因の鑑別に用いられてきており,ロンベルグ徴候が陽性の場合には,脊髄性の運動失調を疑うことになる.これに加えて平山は,閉眼閉足起立試験をロンベルグ試験とすると,前庭機能障害にみられる閉眼立位時の動揺も一種のロンベルグ徴候と考えたほうが実際的であると述べ,閉眼閉足起立試験によって身体の動揺が起こる場合をすべてロンベルグ徴候陽性とし,これを脊髄癆型後索性ロンベルグ徴候,前庭性ロンベルグ徴候,および下肢筋力低下による末梢性ロンベルグ徴候に分類している2).前庭性ロンベルグ徴候は閉眼後の身体動揺は次第に増強するが転倒することは少ないというものであり,下肢筋力低下による末梢性ロンベルグ徴候は特に腓骨筋の筋力低下により閉眼時の横方向の動揺が増えるというものである3).
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