わだい
RFLPによる遺伝子診断
野島 博
1
1大阪大学微生物病研究所難治疾患バイオ分析部門分子遺伝研究分野
pp.359-361
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906566
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■RFLPの適用範囲
制限酵素断片多型性(RFLP;restriction fragmentlength polymorphism)を利用した遺伝子診断は,適用可能な疾患も年々増加してきており,臨床検査において日常的な検査の一つになる日もそう遠い将来のことではなかろう.特に試料となるDNAについては,PCR(polymerase chain reaction)法の開発により,ごく少量の血液(10μl),患者にうがいをさせて得られる口粘膜細胞,はては毛根1本や布に付着した血痕などからも大量に増幅できるようになったおかげで,その対象とできる範囲も広くなってきた.
その原理を図15に示す1).病因となる遺伝子の欠損部位あるいはその近傍に起きた,DNA塩基配列の挿入,欠失,点変異などにより生じた制限酵素による切断されるDNA断片の長さの違いを,アガロース電気泳動とSouthern blot法を用いてプローブ(図15)により検出するものである.この技法は非常に感度が高く簡便ではあるが,いくつかの欠点も持つ.一つは点変異の場合,適当な制限酵素の認識サイトで起きない限り検出できないことであり,二つには,疾患の原因と無関係なRFLPも多々存在し,結果の解釈を複雑にする点などである.
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